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個人事業主と法人 経費の違い7つのポイント 法人化する時に変わる範囲を解説

公認会計士・税理士/クロスト税理士法人 松本昌晴

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2021年2月17日

退職金

個人で事業をされている方、会社を設立された方、いずれも個人・法人の経費の違いについて知らないまま法人化される方は多いです。

個人事業主から法人化した場合、経費は範囲が広がり、節税効果が期待できます。

※個人の状況により異なります。

この記事では個人事業主から法人化した後に「経費」の範囲がどのように変わるのかを、7つのポイントにまとめて解説します。

①社宅の家賃の範囲が広がる

家賃イメージ

個人事業主の場合は、自宅と仕事場が一緒の場合、仕事に使っている部屋だけ等、一部分のみを経費として計上することを認められています。

一方、法人成りをすると自宅を「役員社宅」にして、節税対策できます。

役員社宅とは、賃貸借契約書の賃借人を会社名義にして、役員に貸し出して家賃を支払ってもらう制度のことです。

法人が借りた住宅を役員に社宅として貸し付けることで、法人が支払う家賃と役員から受け取る家賃との差額を経費にできます。

一方、役員は自宅を社宅にすることで家賃負担を減らすことができ、通常家賃との差額分も給与所得として課税はされません。

このように、役員社宅をうまく活用することで、法人と役員のそれぞれにとってメリットのある節税対策となります。

自宅を社宅として購入した場合は、借入金の利息や、固定資産税についても会社の経費として処理できます。

しかし、社会通念上、社宅と認められないような豪華住宅や、あまりにも個人の負担額が安すぎるような場合、認められないことがあります。

②出張経費が経費にできる

出張する女性

個人事業主の場合は、出張にかかる実費のみが経費として認められます。

しかし、法人の場合は、日当や出張手当として出張経費を支給して、節税することが出来ます。

もし出張を伴う業務が多いのであれば、会社独自の出張経費規程を作成しましょう。

規定では、社長・役員・従業員等の役職によって手当の金額を変えて決定できます。

ただし、手当は「相当と認められる」金額である必要があります。

そのため、規程を定めたから高額な手当支給をしても良いというわけではありません。

手当に関しては、実際かかる金額より多めに設定しておけば、節税することが出来ます。

以下の事例はよくある節税方法の1つです。

会社設立後、社内規定に出張時の日当を導入したAさんの事例

Aさんは会社設立後、中国への出張が多かったため、出張手当を設けることにしました。毎回1泊する出張があるたび、出張手当を2万円支給するという内容です。

個人事業主の時は出張がある度、宿泊代・交通費・飲食代等の経費を精算していました。

会社設立後は出張に伴う細かな経費は精算せず、手当で補うようになりました。

③生命保険料は経費に、小規模企業共済掛金は所得控除の対象に

生命保険イメージ

個人事業主の場合、生命保険料に関してはどれだけ支払っても、最大12万円の所得控除しかありません。

しかし、法人契約で自分(社員・役員)が被保険者、保険金の受取人を法人という保険契約すると、一定の条件を満たせば、その保険料を法人の経費とすることができます。

保険商品によっては全額経費とならないものもありますが、退職金や設備投資等、将来の支出に合わせた設計をすることで、節税と資産運用の両面から有効に活用できます。

また、小規模企業共済制度の掛金は、事業上の経費にすることはできません。そのかわり、医療費控除や生命保険控除などと同様に所得控除を受けられます。 

しかも、払った掛金はその全額が控除されますから、事業上の経費を払ったのと同じ効果を受けられます。

④慶弔費の扱いが異なる

慶弔費

結論からいうと、個人・法人どちらも事業に関係する支出で相応な金額であれば、経費になります。

しかし会社の場合は該当しない場合がある為、注意点を確認しましょう。

まず個人事業主の場合、慶弔費は渡す相手が取引先でも従業員でも、経費として計上することができます。

一方、会社設立後は渡す相手によって処理方法が異なります。

慶弔費を現金で会社の「従業員や役員」に渡す場合、「福利厚生費」として認められます。

しかし金額が高すぎる慶弔費は給与として見みなされる可能性があり、課税対象になります。

社内規定に則って支給されるため、法人設立時に社内規定を作る際には「全員が受けられる、高額すぎない」という内容になるように注意しましょう。

一方、「社外」への慶弔費の場合は、条件があります。

交際費等の損金不算入制度があり、資本金1億円以下の会社は「年間800万円まで」または「交際費等の額のうち、接待飲食費の50%まで」の、いずれかを選択して経費扱いで処理できます

個人事業主から法人成りする場合、多くがこの制度に該当するので、実質は経費扱い出来ると考えて良いでしょう。

会社が大きくなった場合や、年間800万円を越える場合には対応が異なりますので、頭に入れておきましょう。

個人法人どちらにも言えることですが、慶弔費は領収書がもらえないので、出金伝票などを記載して、支払証明となるものを作成しておきましょう。

慶弔に関する書類(連絡、案内状)を残しておけば、領収書に代わり、内容を証明できるものになります。

⑤法人成りする際の創立費や開業費は経費にできる

創業費

創立費や開業費は、将来的に経費にすることができます。

「創立費」とは会社を法律的に作るまでにかかる費用のことを指し、「開業費」とは営業を開始するまでにかかる費用のことを指します。

具体的には以下のような項目が「創立費」です。

  • 登録免許税
  • 定款や諸規則の作成費用
  • 会社設立のための司法書士への報酬

また、「開業費」は以下のような項目です。

  • 広告宣伝費
  • 通信交通費
  • 事務用消耗品費
  • 支払利子
  • 使用人の給料
  • 保険料

創立費は法人のみ必要となります。

一方、開業費は個人事業主・法人ともに必要になります。

創立費・開業費は、いつ、どのくらい償却(費用計上)するかを決められます

原則、「会計ルール」(「繰延資産」)で処理することとなっていますが、中小企業の場合は、税務のルールに従って「好きな事業年度に好きな金額だけ」経費として処理できます。

利益が出た年に償却処理を行うことで、節税対策ができるということを覚えておきましょう。

⑥家族が役員の場合の退職金が経費になる

退職金

個人事業主の場合、退職時に多額の退職金を家族従業員に支払うと、それは個人事業主から家族への「贈与」とみなされて、多額の贈与税を支払う必要があります。

一方で、法人だと社長である自分に対して給料を支払うことが可能であるのと同様に、退職金を支払って、それを経費として計上することが可能です。

役員の家族に退職金を支払うことは、以下のメリットがあります。

  • 退職所得控除がある。

勤続年数が20年以下だと40万円×勤続年数、20年以上だと1年で月70万円の退職控除を差し引くことができます。

  • 退職所得控除の部分を2分の1にできる。

(例)退職所得控除をした後で2分の1にできるということは、単純にいうと2000万円の所得を1000万円にできる

ただし、これは勤続年数が5年以内の法人役員等の退職所得には適用されません。

  • 分離課税である

退職所得は分離課税といい、退職所得のみで分けて税率がかかります。そのため、通常の給与よりも税率が低くなるメリットがあります。

これら理由から、個人事業主に比べると大幅な節税メリットがあるといえるでしょう。

⑦家族への給与が経費になる

家族経営

個人事業主では、基本的に家族に対する給与は経費扱いにできません。

しかし、一定の手続きと条件を満たすことで、支払った給与が経費として認められる「専従者控除制度」という仕組みがあります。条件に当てはまらなければ該当にならないため、かなり限定的です。

一方、法人の場合は家族を役員や従業員にすれば、大きなルールはありません。給与を経費にすることができます。

法人化している事業で家族を役員にして、役員報酬を経費で処理するには、毎月同じ支給日に同額の給料を支払う必要があります。

支給が1カ月おきなど不定期だったり、毎月の支給金額にバラつきがある場合は、役員報酬の全額を経費で落とすことはできません。

また、家族を役員にしない場合は税務署への事前届出は不要ですが、役員の場合は「事前確定届出給与」の手続きが必要です。

手続きをする際、設定する給与の額が一般的に妥当かという点にも留意しておきましょう。

たとえば、週に数回簡単な雑務を任せているだけなのに、月100万円を超えるような給与額は不自然です。

仕事内容に対して妥当な額か、他の従業員の給与と比べて高すぎないかをきちんと検討しましょう。

まとめ

経費イメージ

個人事業者と法人の経費の範囲の違いについて説明いたしました。個人事業主が法人成りすることで、さまざまなケースで経費扱いとして処理することが可能になります。

  • 個人事業主の方は経費の金額に上限がない一方で、経費扱いにできる範囲が狭い。
  • 法人の場合、経費の上限はある一方で、経費にできる範囲が広い。

法人の方が経費扱いに出来る範囲が広くなります。

このことは、どなたにも有利だと言い切れませんが、事業規模が大きくなれば有利な項目が多いでしょう。

是非参考にしてください。

個々の状況で異なるため、「自分の事業では、どのようにすればベストなのか?」については、税理士事務所に相談しましょう。

この記事を監修した人

公認会計士・税理士/クロスト税理士法人
松本昌晴

この記事を監修した人

公認会計士・税理士/クロスト税理士法人 松本昌晴

会計事務所を開業してから35年以上になります。この間、500件以上の会社設立の無料相談にかかわりました。会社設立について悩んでいる人達に、「悩みを解決するための情報を提供したい」という想いから本サイトを立ち上げました。

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