会社設立のお悩み解決!!START大阪
会社設立のお役立ち情報 START大阪(松本昌晴税理士事務所)
のサービス

会社設立体験談 vol.1: スタッフ全員が理念を共有し、同じ方向を向いて仕事ができるのが強み

公認会計士・税理士/クロスト税理士法人 松本昌晴

時計のアイコン

2021年3月11日

しろう株式会社 代表取締役 馬場美紀 様

大阪府堺市で、しろう株式会社の馬場様にお話をうかがいました。馬場様は、看護師として25年以上病院勤務をされたのち、理想の介護を実現したいという思いで同僚の看護師仲間と一緒に「まある訪問介護ステーション」を立ち上げられました。会社を設立された時の想いや、苦労されたこと、それにどう対応されたか、体験談を伺いました。

自分たちの理想の看護ができる訪問看護ステーションを立ちあげよう

まある訪問介護ステーションロゴ
  • 会社を設立したきっかけを教えて頂けますか?

それまで私は病院の整形外科病棟で看護師として勤務しており、一緒に会社を立ち上げた岡は内科病棟で勤務していました。

今の病院の体制というのは、医療費削減の流れの中、どの病棟でもある程度の治療が終わったらすぐ通院に切り替えざるを得ない状況なんです。

患者さんが納得できるまで治っていないのに、短い場合は1週間といった治療半ばの状態で退院を強いられることもあります。

リハビリ途中の状態でも退院して家に帰らざるを得ない患者さんや、在宅の老々介護で苦労されている患者さんから相談を受けました。

その中で、「それなら、自宅に戻られた方のケアを目的とした、自分たちの理想の看護ができる訪問看護ステーションを立ちあげよう」ということになりました。

義理の父が自宅の隣の空いている土地を提供してくれ、事業所を建ててくれました。
感謝の意味をこめて、会社の名前を義理の父の名前の“しろう”にしたんです(笑)

  • 開業してみて、とくに苦労した点はありますか?

25、6年病棟で勤務しておりますので、“病棟脳”がどうしてもぬけない点でしょうか。病棟だったらこんな風にできるのに・・・と、色々なものの考え方をスイッチしていくのに苦労しました。

病棟から在宅へとフィールドが変わる中、病院でしたら当たり前にそろっていた物品も無い状態で、色々な工夫が必要でした。

例えば、転んで病院に連れて行かなければならない患者さんの患部を段ボールで固定して包帯で巻いて添え木代わりにして救急車に運んだこともあります。

床ずれを洗う道具も、ママレモンの空容器や100均のお好み焼き用マヨネーズ容器を使って自作したり、近隣のステーションから情報をもらいながら工夫してやっていますね。

病棟にいた時はそろっているのが当たり前だった物品を今は大事に大事に使っています(笑)

  • 人づきあいの面などで苦労した点はありますか?

ケアマネージャーさんやヘルパーさんとのやりとりの中でも、在宅だからこれでよい、という妥協ができず、“病棟の常識”にこだわってしまう癖がなかなか抜けませんでした。

例えば、ケアマネージャーさんは現状可能な範囲で「これができているからOK」というように60点くらいを目指して考えます。

看護師の場合はどうしても100点満点を目指してしまいがちになります。

「こんなこともできていないから、こうするべきだ」となってしまい、看護の方針について意見が対立してしまうようなことが最初のころはありました。

営業は心が折れました(笑)

まある訪問看護ステーションの看板
  • 利用者様(お客様)のご紹介はどのように頂いているのですか?

ケアマネージャーさんからが7割、医師からが3割というところです。

  • 集客で苦労されたことはありますか?

営業は心が折れました(笑)

訪問看護ではケアマネージャーさんに営業を行っていくわけですが、これまで看護師として病棟勤務していたころはやったことがなかったので。

それまで接触したことのなかったケアマネージャーさんのところに飛び込みで通い、10日目ぐらいで心が折れそうになりました。皆さん良い方ですが、やはり慣れるまでには時間がかかりました。

スタッフ全員が理念を共有しており、同じ方向を向いて仕事ができる

  • 御社の強みはどういったところだと思いますか?

スタッフ全員が同じ方向を向いて仕事ができている点が強みでしょうか。

価値観が似ている者が集まっているので、カンファレンスをしても活発に意見交換でき、「そうそうそう」とみんなの意見がそろって進められます。これは本当にありがたいです。

もう一つの強みは、スタッフ全員が明るいことですね。

人の育成という面では、病棟では新人指導を行っていた経験から、下の者を守りながら、育てていくというところには特に力をいれています。

いつも笑顔が絶えない職場で、良い雰囲気で仕事ができています。

  • やはり社長の理念に共感された方が集まられたからでしょうか?

スタッフの10名中7名が、私がもと勤務していた病棟の看護師です。

みんな同じ病棟で教育を受けていたので、理念や価値観が似ているんだと思います。

  • 立ち上げに際して、スタッフをどうやって集めたのですか?

私が退職してステーションを立ちあげる話をしたら、「行っていいんですか?」と来てくれました。

採用に関しては、本当にラッキーだったと思います。患者さんに向ける視点や看護に関する考え方が一致しているメンバーばかりなので、とても仕事がやりやすいです。

一度、ネットの求人サイトで応募して半年間だけ来ていただいた方がいたのですが、考え方が合わなくて、本当に大変でした。

  • スタッフ同士のコミュニケーションで気をつけていることはありますか?

スタッフ同士の情報共有には特に力を入れていて、iPadの電子カルテを活用して訪問先毎のデータを共有しています。

対応するスタッフ同士で患者様の情報を共有することで、きめ細かい看護ができていると思います。

通帳のお金がどんどん減っていくのをみて、常に不安を感じていました

通帳とお金
  • 開業を考えた時に不安はありませんでしたか?

何も考えずに、やりたいという思いだけで設立しましたので、経営については何もわかっていない状態でした。

でも、開業前は希望に満ち溢れていて、自信もあったので、何の不安もなかったです。

法人をつくらなければならない、というのを松本先生に教えて頂いて、資金も日本政策金融公庫で借りる手続きをお手伝いいただきました。

  • 実際に開業してみてどうでしたか?

不慣れな在宅看護と、不慣れな他業種(ケアマネージャーさんやヘルパーさん)との連携に最初はとても苦労し、さらに6カ月くらいはほとんど収入も入ってきませんでした。

6カ月目に、雇っていた正社員の方のお給料が払えないかもしれない、という状況まで追い詰められて、国金から100万円の追加融資を受けました。

そこから利用者の数が増えていったので良かったですが、3カ月目から6か月目までは、通帳のお金がどんどん減っていくのをみて、常に不安を感じていました。

100万円の追加融資を使い切ったら、親に借りるしかない、と思っていました。

基本のやるべきことを一つ一つこなしてきたことが成果につながった

  • 6カ月間の努力の結果がその後の利用者さんの伸びにつながったのだと思いますが、具体的には何がポイントとなったと思われますか?

とにかく頂いたお仕事をきっちり丁寧にこなすことを心がけました。私たちは看護師なので、看護という視点でしっかり患者さんを見て、その方に必要なことをしっかり行いました。

また、担当のケアマネージャーさんに、初回訪問の度に逐一、患者さんの状態や今後の看護の方向性について報告しました。

当たり前のことを当たり前にきちんとこなすことと、ケアマネージャーさんに顔と名前と仕事っぷりを覚えて頂く努力をしました。

特別な人脈も何もなく立ちあげたので、特別なことはなにもしていませんが、基本のやるべきことを一つ一つこなしてきたことが成果につながったのではないかと思います。

  • 将来はどうしていきたいですか?

将来はサテライトを考えています。

以前勤めていた病院のある富田林市からの依頼が多いのですが、近所にららぽーとができて道路が渋滞して通うのも大変になってきたので、サテライト事業所の設置を考えています。

想いがブレなければ上手くいく

  • これから開業される方にアドバイスするとしたら、特にどんなことを伝えたいですか?

皆さん、想いがあると思いますので、それがブレなければ上手くいくと思います。

私たちも、設立前は、“一発当てて儲けよう!“という気持ちも多少はありました(笑)
病院勤務よりも年収は増えるだろうし、自分たちのやりたい看護もできるなんて、こんな良いことはないよね、と本当に楽観的でした。


実際に開業してからは、病院勤務とは違う大変なことも色々ありました。

でも、本質の看護そのものは変わらないので、患者さんにどう接するかという点ではブレずに対応できてきたと思います。

そこがぶれなければ、時間はかかっても、ケアマネージャーさんもわかってくれると思います。
そして、営業に行って、お仕事を下さった方には全力でお返ししました。
上手くいったこともできなかったこともきちんと報告しました。
そうするうちに「そこまでしてくれたんですね」と感謝されるようになりました。

利用者さん、ケアマネージャーさん、主治医、ヘルパーさんとの連携をとにかく密にとることが大切ですね。

この記事を執筆した人

公認会計士・税理士/クロスト税理士法人
松本昌晴

この記事を執筆した人

公認会計士・税理士/クロスト税理士法人 松本昌晴

会計事務所を開業してから35年以上になります。この間、500件以上の会社設立の無料相談にかかわりました。会社設立について悩んでいる人達に、「悩みを解決するための情報を提供したい」という想いから本サイトを立ち上げました。

人気の記事を読む

会社設立を決めていなくても
一度無料相談でお悩みを
お聞かせください

起業を決めていなくても大丈夫です。
無料相談では、今抱えられているお悩みを
お聞かせください。
会社設立の支援実績豊富なプロの税理士が
お話を伺います。

メールのアイコン
電話のアイコン

9:00~18:00(平日)